2008年09月15日

「だましてください言葉やさしく」

 だましてください言葉やさしく

  永瀬清子

だましてください言葉やさしく
よろこばせて下さいあたたかい声で。
世慣れぬわたしの心いれをも
受けて下さい、ほめて下さい。
あああなたには誰よりも私が要ると
感謝のほほえみでだましてください。

その時わたしは
思いあがって傲慢になるでしょうか
いえいえわたしは
やわらかい蔓草のようにそれを捕えて
それを力に立ち上りましょう。
もっともっとやさしくなりましょう。
もっともっと美しく
心ききたる女子になりましよう。

ああわたしはあまりにも荒地にそだちました。
飢えた心にせめて一つほしいものは
私があなたによろこばれると
そう考えるよろこびです。
あけがたの露やそよかぜほどにも
あなたにそれが判って下されば
わたしの瞳はいきいきと若くなりましよう。
うれしさに涙をいっぱいためながら
だまされだまされてゆたかになりましよう。
目かくしの鬼を導くように
ああわたしをやさしい拍手で導いてください

 詩集 『焔について』より 



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